「在宅医療」とは、体の機能が低下し、通院が困難となった方の自宅や施設に医師が訪問して行う医療。
つまり、寝たきりの高齢者や、回復が難しい障害者など通院が困難な方が対象となります。
通院は難しいけれど自宅で継続して医療を受ける必要がある場合、在宅医療でそれを実現できます。
ところが、あくまでも自宅での生活をサポートするということになりますので、病院での入院とは異なることをご承知いただく必要があります。
在宅医療の長所
在宅で療養する最大の良いところは、「住み慣れたいつもの環境で生活ができる」ということにあります。
病院は積極的に治療をする場所であり、他の入院患者さんとの共同生活として、さまざまな制限があります。施設で生活する場合も、時間がたてば多少は慣れるとはいっても知らない場所、知らない人たちに囲まれた生活となります。
それに対して、在宅ではこれまでと同じ暮らしが出来ます。 家族やペットがいる生活はこれまでどおりです。布団もテレビもトイレも同じものです。室内の様子や窓から見える景色、聞こえてくる音などもこれまでと同じです。
在宅医療では、住み慣れた環境で安心して寝起きできますし、寝るのも起きるのも、何を食べるのも自由です。
病院では眠れなかった方も自宅に帰ると睡眠がしっかりとれるようになります。
食欲不振だった方も好きな物を好きな時間に食べることが出来ます。
在宅医療の短所
医師や看護師、ヘルパー、ケアマネージャーなど、多くの職種の人が入れ替わり自宅を訪問することになります。 また、病状はいつ変わるかわからず、急変した時が心配という方もいると思います。
病院であればナースコールを押せば数分で看護師が駆けつけてくれます。
ところが、在宅では不可能ですので急変した時のことをあらかじめ想定し準備しておくことで対応する必要があります。
また、病院での入院治療とは異なりますので、積極的な検査・治療を最期まで受け続けたい(抗がん剤の点滴や放射線治療など)とお考えになる場合には、在宅では対応や治療の継続が困難な場合もあります。
在宅で可能な検査や治療は、病院とは異なり、どうしても制限されたものとなります。